目標工賃達成指導員加算をとるのに、具体的に何をしたらいいの?/就労継続支援B型
就労継続支援B型事業所で、目標工賃達成指導員加算を算定しているが、すべきことがきちんとできているか分からないから教えてほしいというお問い合わせがありました。
利用者数の考え方から、基本的なことを含め、開所したばかりで、よく分からないという方向けに書きました。
就Bで目標工賃達成指導員加算を算定する際にすべきことは何か
人員配置や、工賃向上計画の作成などの要件があります。
人員配置
1. 職業指導員+生活支援員の総数が 常勤換算方法で 7.5 : 1 以上
利用者数 (前年度実績) (新規の場合は定員の90%※) |
計算式 |
職業指導員+生活支援員の必要数 (常勤換算) |
20人 | 20➗7.5=2.66 | 2.6人 |
19人 | 19➗7=2.53 | 2.5人 |
18人 | 18➗7.5=2.4 | 2.4人 |
17人 | 17➗7.5=2.26 | 2.2人 |
16人 | 16➗7.5=2.13 | 2.1人 |
15人 | 15➗7.5=2 | 2人 |
※利用者数の詳しい考え方は後述の4を参照
2.目標工賃達成指導員 職業指導員+生活支援員の総数が 常勤換算方法で 6:1 以上
(「職業指導員+生活支援員の総数7.5:1以上」を満たせていれば、そこに常勤1.0をプラスするので、満たせているはずです)
利用者 | 計算式 | 目標工賃達成指導員 + 職業指導員 + 生活支援員の必要数 |
20人 | 20➗6=3.33 | 3.3人 |
19人 | 19➗6=3.16 | 3.1人 |
18人 | 18➗6=3 | 3人 |
17人 | 17➗6=2.83 | 2.83人 |
16人 | 16➗6=2.66 | 2.6人 |
15人 | 15➗6=2.5 | 2.52人 |
3.目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1.0以上、配置する
常勤換算で1.0以上なので、複数の非常勤でも構いません。
4. (目標工賃達成指導員加算に限りませんが) 開所して半年経ったら毎月、利用者数を計算します。4月〜翌年3月という年度がたまったら、前年度実績を確認し、必要に応じて人員を増減する。
例:定員20人、令和3年12月開所の場合、次のような計算になります。
期間 | 利用者の数 |
令和3年12月〜令和4年5月 (開所〜6か月まで) | 利用定員の90%=18人と考える |
令和4年6月〜令和4年11月 (6か月経過後) | 直近6か月の利用者数から計算する (=直近の6月における全利用者の延べ数を当該6月間の開所日数で除して得た数とする) 例: 令和4年6月は「令和3年12月〜令和4年5月」の実績 令和4年7月は「令和4年1月〜令和4年6月」の実績 「直近6か月」は毎月変わるので、毎月、計算することになります。 |
令和4年12月〜令和5年3月 (1年経過後) | 直近1年の利用者数から計算する。 (直近1年間における全利用者等の延べ数を当該1年間の開所日数で除して得た数とする) 例: 令和4年12月は「令和3年12月〜令和4年11月」の実績 令和5年1月は「令和4年1月〜令和4年12月」の実績 「直近1年」は毎月変わるので、毎月、計算することになります。 |
令和5年4月以降 | 前年度(4月1日〜翌年3月31日まで)の利用者から計算する。 (前年度の利用者延べ数を開所日数等で除して得た数とする。小数点第二位以下は切り上げ) |
工賃向上計画の作成と提出
5.工賃向上計画(=3年計画で向上していくための計画)を作成する
6. 工賃向上計画を提出する。
提出先は、大阪府の場合はこちらです。
大阪府福祉部障がい福祉室自立支援課就労・IT 支援グループ
〒540-0008 大阪府大阪市 中央区大手前3丁目2-12別館1階
電話:06-6944-9177・9178 Fax:06-6942-7215
https://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/jyusan/
7. 毎年4月には、前年度の実績を踏まえ、達成状況を点検・評価し、その結果に基づいて、「工賃向上計画」の見直しをする。
見直しがあった場合は5月末日までに工賃向上計画を提出する。(見直しがなければ提出不要)
8. 見直しがなくても、工賃向上計画の年度は、令和3〜5年、令和6〜8年などと決まっているので、そのタイミングで、提出する。
令和4年3月現在、次回の提出は、令和6〜8年の工賃向上計画を令和6年5月末までに提出
9.目標工賃の達成に向けた取り組みを行う。
具体例
- 受注している作業の単価向上のために企業などと交渉
- 新しい作業の受注営業
- 作業能力アップに関する支援
- 作業工程の見直し
10.業務日報を記録
実地指導でよく確認されるのは、目標工賃達成指導員の業務日報です。
出勤記録との整合性に注意して、矛盾がないようにしましょう。
加算要件として義務付けられているわけではありませんが、目標工賃達成指導員には、「工賃向上計画に掲げた工賃目標の達成に向けて積極的に取り組むこと」が求められているため、その記録として、業務日報に、目標工賃の達成に向けた取り組みをしたことがわかるようにしておくと良いでしょう。
目標工賃達成指導員加算のために必ず用意しておく書類は何か
工賃向上計画以外に、目標工賃達成指導員加算を取得するために、必ず用意しておく書類は何か、気になるかも知れません。
ある指定権者に問い合わせたところ、「とくにない」とのことでしたが、「事業所として、指導員がどういう動きをしているか、それが利用者にどう反映されているか、などは記録しておく必要がある」とのことでした。
そういう点では、やはり業務日報が良いでしょう。
最後に
目標工賃達成指導員は置いているし、加算はとっているけれど、具体的にこれで正しいのかな、と思う方の参考になれば幸いです。
目標工賃達成指導員加算では、目標工賃達成指導員を常勤換算で1人以上配置しなければいけないので、利用者の少ない開所直後は、大変かも知れません。
開所直後は加算をとらずに、人員配置がゆるくなる半年後から算定するのも良いですね。